若者はお金がないから恋愛できないのかどうかはわからないが、外国と比べて日本人に恋人・同棲相手が少ないのは間違い無い

finalvent翁の全体の論調には共感できない部分が無いでも無いと思うし、本当に金が無いだけが理由なのかは私も疑問に感じなくもない。しかし以下の部分、恋人が少ないのは日本だけではない、という主張には明確な間違いがあるので指摘する。

若者はお金がないから恋愛できないのだろうか?: 極東ブログ

そう思うのは、「「現在、婚約者または恋人がいる」人の割合の変化」を各国比較で見ると、単に文化・社会構造の要因だけではないかと思われるからだ。

 韓国はたいていの場合、日本と相似な文化で、しかも少子化を辿っているという点でもそっくりなのだが、「現在、婚約者または恋人がいる」という点では、日本よりも米国に似ている。しかし、日本はフランスやスウェーデンなど成熟した市民社会のほうに似ている。

ここで翁の論拠とされている厚労省のデータだが、表に付随する条件、73ページの最後のパラグラフををお読みいただきたい。以下の記述がある。

現在の交際関係について、結婚も同棲もしていない人に、恋人又は婚約者がいるかどうか尋ねた

 つまりフランスとスウェーデンを日本と比較するためには結婚率および同棲率を考慮しなければいけない。そしてこの両国は、同棲率が高いことで有名なのだ。以下に、この厚労省資料の出典である内閣府資料の数字をもとに社会実情データベースの人が作成したグラフ(図録▽結婚・同棲・未婚の国際比較)を載せよう。

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日本では「結婚または同棲している20代」が25.7%なのに対し、フランスでは53.6%, スウェーデンでも46.8%に上がる。この点を考慮して先の表を書き直してみる。

結婚も同棲もしていないうちで婚約者・恋人のいない割合結婚も同棲もしていない割合パートナー保有率
日本 24.60% 71.90% 45.79%
韓国 40.80% 81.50% 51.75%
アメリカ 40.00% 54.00% 67.6%
フランス 28.80% 44.50% 68.32%
スウェーデン 26.90% 52.50% 61.62%

 

さらに「既婚及び結婚・同棲していない者のうち、過去に同棲を経験したことがある者の割合」についても、同じ内閣府調査結果から引用して比較しよう。この部分でも日本とフランス・スウェーデンの違いは大きい。

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いかがだろうか。数字の解釈は各人にお任せしたいが、少なくとも翁の言われるような "日本はフランスやスウェーデンなど成熟した市民社会のほうに似ている" と言える状況でないのはおわかりいただけると思う。「成熟した市民社会では同棲が増える」ということは言えるかもしれないが、そう定義するならば、日本は成熟した市民社会からむしろ遠ざかっている。